第9回 東部海浜開発事業検討会議 報告(企業訪問編)

ひげぼうず

2007年06月07日 12:55

2007年6月4日(虫歯予防デー)、午後12時50分より、
第9回 東部海浜開発事業検討会議 が開催されました。

今回は新港地区への視察と、新港地区に隣接する人工干潟の視察がメインです。

展望台から見た新港地区の様子については↓をご覧ください。

第9回 東部海浜開発事業検討会議 報告(新港展望台編)

さて展望台を後にして、次は新港地区特別自由貿易地域に入居している企業さんへの訪問です。

まずは水族館用のアクリル板の製作を行っている「日プラ」さんという企業。

日プラ株式会社/NIPPURA CO.,LTD


この日プラさん、美ら海水族館にあるメイン水槽の世界最大のアクリルパネルを製作した企業で、ご存知の方もいるのではないでしょうか?


世界最大のアクリルパネルを使った美ら海水族館の巨大水槽


沖縄の工場では、これら水族館などの水槽用の特殊アクリルパネル製作と、もう一つ面白いものを作っています。


ニップラ ブルーオーシャン


これ、水槽じゃないですよ。
映像です。
『ニップラ ブルーオーシャン』というニップラさんのアクリルパネル技術を応用したリアプロジェクションシステム用スクリーンです。
ふつうプロジェクタのスクリーンは、フロントプロジェクションではマット地のスクリーンに、リアプロジェクションでは薄いザラツキのあるアクリル板を使用します。
この『ニップラ ブルーオーシャン』を使って投影した映像の美しさは、それら従来のスクリーンのの比ではないです。
ものすごいクリア感。
パソコンの液晶パネルでツヤツヤ液晶が流行りましたが、まさしくあんな感じ。
これでハイビジョン映像とか見たらぶったまげるはず。

余談ですが、私は東京にいたころ科学館や博物館向けの映像展示システムの設計・製作などをやっていたのでこの手のヤツはちょっと詳しいのですが、これだけきれいなスクリーンはお目にかかったことはないです。
科学館や博物館などの文化施設は、視覚にうったえることが主ですから、この手のスクリーンは需要があるはず。

とか考えていました。

さて、前置きが長くなりましたが、この日プラさんのお話によると、

  • 親会社より規定のアクリルパネルを仕入れ、自社では加工を行っている。

  • アクリルパネル同士の接着技術に定評がある。

  • 美ら海水族館クラスのアクリルパネルが作れるのは世界でも日プラだけ。

  • 主な取引先は海外。

  • 水族館や博物館、ショッピングモールなどの公共施設向けが多い。


とのこと。
新港地区での状況を聞くと、

  • 港に隣接しており、海外輸出のことを考え入居した。

  • 実際には新港地区からは出荷できず、那覇まで車で運び出荷している。

  • アクリルパネルは傷つきやすく、できるだけ輸送経路は短い方が良い。

  • 早く新港地区での航路整備をして欲しい。

  • 航路が整備され、安定した輸送ができれば、沖縄での事業拡大も検討できる。


ということでした。


次に訪問したのは『コンボルト・ジャパン』という企業さん。
あんまりなじみがないですが、屋外用燃料タンクを作っている企業さんです。

コンボルト・ジャパン株式会社

こんなヤツを作っています。


コンボルト式燃料タンク


従来の燃料タンクは、スチール(鉄)でできており、どうしてもサビてしまいます。
定期的なメンテナンスが必要なことはもちろんのこと、サビて穴が開いてしまったらそこから燃料が漏れ出し、周辺の地域に深刻なダメージを与えてしまいます。
それらの欠点を克服したのが、このコンボルト型燃料タンクです。
内部に金属(鋼)製のタンクを非金属(ポリエチレンなど)製のタンクで覆う構造で、信頼性の高い構造になっています。
さらに外部からの力に耐えうるよう、外側は15cm厚の鉄筋コンクリートで覆われています。

7時間の耐火実験、鉄球や銃弾などの破壊試験、マイナス40度の状況下での耐久試験など、ものすごい厳しいテスト項目をクリアしたタンクです。

こんなもの誰が使うんだ?
と思ったら、やっぱり軍関係がメインらしいです。

沖縄には米軍基地のほとんどが集中しています。
このタンクはアメリカで開発され、政府により利用が推奨されているものだそうなので、基地内にはこのコンボルト型タンクが多く使われているとのことです。

また、内地のほかの基地にもいくつか納入の実績があるとのこと。

新港での状況のお話を聞いてみると、

  • もともと賃貸工場でやりたかったが、製品が重量物であること、それを吊り上げるためには天井が高いクレーンつきの工場が必要だったことから分譲の土地を購入し、自社工場を建てた。

  • コンボルト・ジャパンでは、コンボルト社からライセンスを受け、アジア権でのコンボルト型タンクの専売権を持っている。

  • 現状では沖縄県内の米軍基地への納入が主だが、海外から大口の入札の話もあり、海外展開も視野に。

  • 重量物であることから陸送はかなり大変で、最大級のものになると警察に許可を取って道路を封鎖して運送しなければならない。

  • 製品の価格よりも運送費の方が高くつく場合もある。


とのことでした。

工場の中はこんな感じ。



これはコンボルト式タンクの中に入る金属製のタンクですね。



タンクを移動するためのクレーンが見えます。
オレンジ色のヤツです。


またまた余談ですが。
コンボルト型タンク、非常に重たいです。
どれぐらい重たいかと言うと、



重みでアスファルトが砕けているところもあるくらい。
これを移動させる場合、工場内ならクレーンがありますがそれ以外はどうすると思います?







こんなヤツで移動させるようです。



で、でかい!
超巨大フォークリフトです。



もう一枚。

沖縄で最大って言ってたかな?たしか。
いかにもアメリカーな感じがしますが、三菱製だそうです。



さて、2つの企業さんを見学させていただきましたが、新港地区航路が整備されていないことで、とてももどかしい思いをしているようです。
使えると思っていたものが使えずに、他の不便な方法をとらなければならない状況ですから、当然ですね。

新港地区の土地処分は沖縄県が行っているらしいですが、どうも入居企業さんが受けた説明と実際とではちょっとずれがあるみたいですね。
詳しいことはよくわかりませんが。

とにかく、新港地区がちゃんと機能し特別自由貿易地域としてのメリットが生かせるのは、航路の浚渫が行われ港が整備されてから、ということはよ~~くわかりました。

最後になりましたが、見学させていただいた日プラさん、コンボルト・ジャパンさん、お忙しい中丁寧な説明、対応、ありがとうございました。
とっても楽しかったです(ぉぃ)。
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